リスキリングが注目されるのはなぜ?
英語学習がおすすめの理由と身につけるべきスキル

2020年世界経済フォーラム(ダボス会議)で「2030年までに全世界10億人をリスキリングすること」と宣言されてから、世界的な注目を集めている「リスキリング(学び直し)」。国内外を問わず、社員たちのリスキリングに取り組む企業が増えています。
この記事では、企業やビジネスパーソンがぜひ知っておきたいリスキリングについて、意義・重要性が高まっている背景や国内の動き、学ぶべき理由などを解説します。リスキリングで身につけたい英語関連のスキルについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

ECCの法人向け 語学研修・英語研修

リスキリングとは

はじめに、リスキリングの概要について理解を深めましょう。

  • リスキリングの意味
  • リカレント教育との違い
  • スキルアップとの違い

リスキリングの意味

リスキリング(Reskilling)は、就労・業務に必要な新しいスキルの習得を意味します。
なお、経済産業省の資料(経済産業省の取組)において、リスキリングは「現役のビジネスパーソンの学び直し」と定義されています。

リカレント教育との違い

リスキリングとリカレント教育は、実施する主体・目的が異なります。
リスキリングは、企業が社員に対して実施し、業務で求められる知識・スキルを習得させます。つまり、企業変革や人材育成の一環ということができるでしょう。

一方、リカレント教育は、社員それぞれが自主的に学習するものです。学習内容は必ずしも現在のビジネスに関するものではなく、生涯学習に近い意味合いを持っています。
また、リスキリングでは、社員が働きながら知識・スキルを習得することが一般的なのに対し、リカレント教育では大学院進学や留学などのため、学習期間に離職するケースもあります。

スキルアップとの違い

スキルアップは、既存スキルの更新や強化を意味します。
一方、リスキリングは新しいスキルの習得を指すため、付加価値の幅を広げる教育ということができます。
なお、スキルアップは海外にはない和製英語で、正しくは「Upskilling(アップスキリング)」と表現されます。

近年、リスキリングの重要性が高まっている背景

リスキリングへの関心が高まっているのは、日本だけではありません。
リスキリングというワードは、世界経済フォーラム(ダボス会議)を通じて広まり、世界中の企業が関心を寄せることとなりました。
ここからは、リスキリングの重要性が高まっている背景を紹介します。

世界経済におけるリスキリング

リスキリングの概念は、世界経済フォーラム(ダボス会議)で2018年に導入されたものです。
さらに、2020年には同フォーラムで発表された「リスキリング革命」では、「2030年までに、全世界10億人をリスキリングすることを達成する」と宣言されました。
これを受けて米国の有名国際企業も、従業員のリスキリングに力を入れています。

リスキリングにまつわる日本国内の動き

世界経済フォーラム(ダボス会議)での宣言を受けて、日本国内でもリスキリングに関する動きがありました。
岸田文雄首相は、衆院本会議の所信表明演説(2022年10月)にて「リスキリングの支援に5年で1兆円を投じる」と表明しています。

実際に「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」の公募もスタートしており、日本国内でもリスキリングの重要性が急速に認知されるとともに、企業がリスキリングに取り組む環境も整ってきたといえるでしょう。

デジタルトランスフォーメーション(DX)との関連性

DXは「情報通信白書 令和3年版(総務省)」において、以下のように紹介されています。

デジタル技術の活用による新たな製品・サービスの提供、新たなビジネスモデルの開発を通して、社会制度や組織文化なども変革していくような取組を指す概念である

引用:情報通信白書 令和3年版(総務省)

DXは、ビジネスモデルや企業のあり方を根幹から変革させる動きで、社員たちに求められるスキルも変化します。
このような動きに伴って、リスキリングによる社員たちのスキル向上への学び直しに関心を寄せる企業が増えていると考えられます。

近年、グローバル分野でのリスキリングが話題に

リスキリングはデジタル分野で注目されることが多かったのですが、近年ではグローバル分野においても注目されるようになってきました。

その理由の1つは、「2019年の入管法の改正」です。

2019年改正で、特別な技能を持つ外国人の雇用を、人材不足が深刻な14業種で認められることとなりました。
そして2022年10月末、国内の外国人労働者数は2007年以降、過去最高を更新して約180万人となりました。
なお、現在の外国人技能実習制度を見直し廃止し、新制度創設へ向けた動きがあります。
政府は2022年11月に「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」を設置し、議論を重ねてきました。
そして、2023年10月18日開催の第12回会議では、3年の育成期間を基本とし、人材の確保・育成を目的とする最終報告書(たたき台)も示され、より健全な制度運営を目指します。関連法案は2024年の通常国会で提出されると見られます。
このような制度見直しをきっかけに、外国人雇用を検討する企業の増加も予想されます。

もう1つの理由としては、「新型コロナウイルスの収束」が挙げられます。

2019年より、世界的な流行を見せた新型コロナウイルス感染症ですが、2023年に入って収束を見せ、同年5月5日にWHOは、緊急事態宣言の終了を宣言しました。
今後は、訪日旅行者や海外取引の増加など、国際交流が活発化するでしょう。
グローバル分野においては、英語力はもちろん、国際理解やふるまいなどを含む、トータルなコミュニケーション能力が求められるため、それらのリスキリングが極めて重要な状況となっています。

ECCの法人向け 語学研修・英語研修

リスキリングとして英語を学ぶべき理由

リスキリングでは、プログラミング、マーケティング、英語など、さまざまな学習内容が考えられます。
中でも英語学習は、以下のような理由からリスキリングに向いているといえます。

  • 義務教育で英語を学んでいるためゼロから学ぶ必要がない
  • 外資系企業への転職などにより年収アップが狙える
  • さまざまな業界で評価されやすい
  • 学習教材やサービスが整っている

義務教育で英語を学んでいるためゼロから学ぶ必要がない

日本のビジネスパーソンは、義務教育・高等教育を通じて、ある程度の英語学習を終えています。
つまり、基礎的な英語を学び終えた状態のため、リスキリングでのスムーズな学習が期待できるのです。
これは、プログラミングなど、知識ゼロの状態から習得する学習と比較して、有利な点ということができます。

外資系企業への転職などにより年収アップが狙える

リスキリングで英語力がアップすれば、海外支社・拠点への赴任、現在よりも好条件な外資系企業への転職など、活躍の可能性が広がります。
それに伴って、年収のアップや昇進などのチャンスも狙えるでしょう。

実際に、公益財団法人日本英語検定協会の調査(英語力とQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の関係性調査結果)によれば、英語力が高い(英検®最終取得級が高い)ほど、平均年収が高い結果が示されています。
(※ 本コラムは、公益財団法人日本英語検定協会の検討や推奨を受けたものではありません)

さまざまな業界で評価されやすい

英語力は汎用性が高く、さまざまな業界で評価されやすい点も大きな特徴です。
グローバル化する現在の社会状況においては、同僚・上司・後輩・取引先・顧客などとのコミュニケーションで、英語が必要な場面が出てくる可能性も高いです。
今後のさらなるグローバル化を見越して、多くの企業が英語力のある人材を求めています。ニーズに応える人材は高く評価されるでしょう。

学習教材やサービスが整っている

日本では、義務教育・高等教育で学習するほか、就職や公務員試験などで英語資格試験等が活用されており、非常に多くの方が英語を学んでいます。
そのため、視聴覚教材・参考書・英会話教室まで、英語の学習教材は多岐に渡ります。
つまり、教材やサービスの幅が広いため、自身に合った学習法が見つかる可能性が高く、スムーズな学習が期待できます。

リスキリングで身につけたい英語関連のスキル

英語関連の検定で一定レベル以上の方はキャリアアップなどに有利だといわれていますが、ビジネスの場で、実際に英語を使いこなせるとは限りません。
そこでリスキリングでは、以下のような「実践的な英語スキル」の習得を目指すと良いでしょう。

  • 英語でのプレゼンスキル
  • 英語でのライティングスキル
  • 英語でのコミュニケーションスキル

英語でのプレゼンスキル

プレゼンテーションの能力は、英語圏で特に重視されるスキルです。
英語での表現力はもちろんのこと、理解しやすい展開を構築するストーリーテリング、ボディランゲージ、マナーなどが求められます。
Web動画サイトには多くの英語プレゼンテーションがアップされており、こまめに視聴するだけでも学ぶことが多いでしょう。

英語でのライティングスキル

ビジネスでは、レポートや企画書など文章を書く機会が多くあります。
近年ではAIが普及し、一定レベルの英語文章は自動でライティングできてしまうため、そこに自らの考えや考察を加えるスキルが重要です。
つまり、AIの書いた文章やさまざまな資料を読みこなし、必要に応じてリライトして、自らの考え・考察を交えて文章をアウトプットする「総合的な英語リテラシー能力」が求められます。

英語でのコミュニケーションスキル

英語でのコミュニケーションに際しては、英語を使いこなすだけでは不十分です。
具体的には、ビジネスを円滑に進め、互いの理解や信頼を深めることが求められるため、振る舞い方など非言語的なスキルも身につけなくてはなりません。

英語のリスキリングなら語学研修サービスがおすすめ

英語の効率的なリスキリングなら、語学研修サービスの利用がおすすめです。
語学研修サービスを利用すれば、教材選びやカリキュラム・スケジュール作成、学習進捗管理、フォローといった負担が自社にかかりません。
また、歴史や実績のある語学研修サービスなら、確かな導入効果も期待できます。

ECCが提供するECC法人向けサービスは、ECCの60年以上に渡るノウハウを有しており、3,000社以上の企業(国内)導入実績があります。
自社の課題やご要望に応じて、プログラム・講師・サポートを一貫プロデュースし、ベストな英語研修をご提案いたします。

※ECCグループ内での実績です

まとめ

リスキリングは、社員たちに多彩なキャリアの可能性を広げます。
同時に、社員たちのレベルが向上することで、企業そのものの価値を高めることも期待できるでしょう。

リスキリングで重要な、学び直しの学習候補はさまざまですが、中でも英語は、時代の流れに左右されないスキルです。
実績のある語学研修サービスを利用すれば、社内全体のスムーズな英語力向上が期待できますので、ぜひご活用ください。